速読と視力回復



効率的な読書に必要なのが速読の技術です。いくら多くの本を読みたいと思っても、人生は有限ですので時間を大切に使うことが不可欠です。

そこで、速読の方法を身につけることによって問題を解決することができます。1日に何時間も本を読むことだけに専念できる人は多くないでしょうから、短時間でも多くのページを読み取ることは意義の深いことです。

もちろん、意味も読み取れないままに速読を行っても読書を楽しむことができません。本当に大切なのは、内容をしっかり理解して読んでいくことです。

また、基本的なことではあるのですが、目が悪いために本を読みづらいということがあります。この場合には、視力回復の方法で近視を克服する必要があります。

目を上手に使おうと思っても、十分な視力がないのでは論外だからです。メガネやコンタクトレンズによって矯正することもできますが、やはり不便です。できれば視力を回復して自分の目で本を楽しみたいものです。

本を読むにしても、色々なコツがあるものです。それらを押さえておけば、読書生活がぐっと楽しいものになるでしょう。


伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」



映画化もされている伊坂幸太郎のフィッシュストーリーですが、原作は4つの短編からなっており、表題咲くのフィッシュストーリーのほか、動物園のエンジン、サクリファイス、ポテチが収められています。


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映画化の際には、伊藤淳史や高良健吾、渋川清彦、森山未來、多部未華子、大森南朋という豪華キャストと、アヒルと鴨のコインロッカーの映画化に関わった中村義洋監督が手を組みました。

フィッシュストーリーのあらすじとしては、伊藤淳史がリーダーを演じるアマチュアバンドの演奏した曲がひょんなことから未来に向けて大きな影響を及ぼしていく物語です。何十年もの時代を経て、最後にはまったく予想もつかない展開にまでつながっていきます。

ほかの3作の中には、これまでの伊坂幸太郎の作品とリンクした登場人物が登場しています。作品間で登場人物が重なることは伊坂幸太郎の得意とする手法であり、フィッシュストーリーの中に収録された動物園のエンジンでは、ラッシュライフに登場した絵のうまい新興宗教の信者の河原崎の父親の自殺前のストーリーが描かれています。

さらに、サクリファイスでは、ラッシュライフや重力ピエロに登場した黒澤が登場します。しかも、サクリファイスにおいては黒澤が主役で、探偵としてある村の事件に関わっていきます。また、ポテチにも黒澤は登場します。伊坂幸太郎の作品の中でも人気の黒澤がここまで活躍する作品も珍しいものです。ポテチにおいては、黒澤は本業の空き巣として登場しています。

伊坂幸太郎のフィッシュストーリーは、映画化されたものを見ても良いのですが、やはり原作の存在感は消すことができません。サクリファイスやポテチもぜひ読んでほしいと思います。

関連作品:ラッシュライフ

近藤史恵「サクリファイス」



サクリファイスは近藤史恵の名を広く知らしめることになった作品で、2008年の本屋大賞で第2位を収めた作品です。ちなみに、この年の本屋大賞の1位を獲得したのは、伊坂幸太郎のゴールデンスランバーでした。


第1位 ゴールデンスランバー


第2位 サクリファイス

第2位に終わってしまったからといって、サクリファイスが見劣りする作品であるかというと、そんなことはありません。むしろ、ゴールデンスランバーがあまりに他を寄せ付けない圧倒的な作品であったと言えるでしょう。

近藤史恵のサクリファイスのあらすじとしては、自転車競技の新人である主人公が、チームのエースであるカリスマの過去に疑惑を抱きながら真実に近づいていくというものです。疑惑とは、エースがかつてチームメイトをわざと負傷させ、引退に追い込んだのではないかというものです。

ネタバレになってしまいますので、この疑惑の真相については触れないでおきます。ここでいう自転車競技とは競輪と異なり、フランスを中心に行われているもので、チームスポーツです。ほとんどの日本人になじみがないものですし、私もそうでした。しかし、そんなことに関わりなく楽しめる作品でした。

競技については、読者が知識を持っていないことを前提にして近藤史恵が書いていることがうかがえ、予備知識がなくてもすっきり読める内容です。自転車なんて興味のない方でも心配なく読んで下さい。

近藤史恵の作品の中で、サクリファイス以上にお勧めなのが、「賢者はベンチで思索する」です。サクリファイスが気に入った方は、ぜひ一読してみてください。

宮部みゆき「楽園」



「模倣犯」の続編に当たる楽園は、宮部みゆきを代表する作品の1つです。



楽園のあらすじとしては、模倣犯にも登場したフリーライターの前畑滋子が休業期間を経てライターに復帰したところ、かつての山荘の事件に関連する話に巻き込まれていくというものです。

宮部みゆきは、楽園の中で山荘というキーワードを使って模倣犯とのつながりを色濃く描写するものの、直接的に事件を結びつけることはしていません。前畑滋子が主人公として登場しているものの、それ以外の人物は大部分が入れ替わっています。

子供を早くに亡くした母親の依頼で、その子供が超能力を持っていたかどうかを調べてほしいという依頼を前畑滋子が受け、超能力(ここでは予知)で描いたと思われる絵の中に、山荘の絵が混ざっており、そこから前畑滋子が過去との葛藤に悩みながらも、真相に近づいていくというのがあらすじです。

ネタバレになってしまいますので、結論については言及しませんが、楽園を読むと宮部みゆきの幅の広さがよく分かります。模倣犯の続編でありながら、まったく質感の異なる作品であるというのが、個人的な感想です。

書評を読んでみると、前作とのつながりについて言及するものが多いようです。まさに続編というよりは、登場人物が一部に共通するスピンオフに近いものですので、そこに物足りなさを感じる方もいるようです。

楽園は、より人間味の強い物語となっていますので、人物描写がとてもしっかりしている印象があります。模倣犯の一件で人生を一変させたフリーライター前畑滋子のその後をたどる上で、重要な作品となっています。

宮部みゆきの作品をチェック!

森見登美彦「太陽の塔」



太陽の塔は森見登美彦の特徴をもっともよく表した作品であると言えます。すなわち、京都大学の貧乏学生が黒髪の乙女に恋をして苦悩する姿を、コミカルに描いた一連の作品の代表と言えるものなのです。


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太陽の塔のほかにも、「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」「〈新釈〉走れメロス」といった森見登美彦の作品でも同様の設定が見られ、共通する登場人物も見られます。これらの作品に多く登場する団体の1つに図書館警察があります。返却されない本を回収することを目的としていた組織が強大な権力をもつようになったのですが、彼らが主人公の前に立ちはだかります。

これらの作品で森見登美彦が描いている主人公の願いは、ただ1つであり、太陽の塔でも一貫しています。それはずばり、「黒髪の乙女と過ごすバラ色で有意義な学生生活」です。滑稽な響きではありますが、考えてみるとこの夢を叶えたと胸を張れる人がどれだけいるのでしょうか。

主人公の暴走にも思える一途な愛は実を結ぶのか?大阪万博の象徴である太陽の塔にストーリーをからめつつ描ききられた森見登美彦ワールドを堪能してください。学ぶべき点は何一つ見つかりませんが、頬がゆるむことは間違いのない作品です。

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豊島ミホ「エバーグリーン」



青春時代の淡い恋愛を特徴的な角度から描ききったのが豊島ミホのエバーグリーンです。


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このエバーグリーンのあらすじは、中学の卒業式の日に、10年後に同じ場所で会おうと約束した2人を中心に進みます。バンドで有名になることを夢見た中学生の男子と、地味でオタク系の女子が夢見た未来は現実になるのか、ミュージシャンと漫画家になるというそれぞれの約束はかなうのかということです。

物語は約束をするまでの中学生活と、約束の日が近くなってきた時期の2つの軸が中心になっています。当然ながら、順調にかなうような夢ではないという事実が2人に突きつけられます。といっても、女子(松田綾子)は実際に少女漫画を連載しており、夢をかなえたことになります。

しかし、綾子は対人関係が上手くいかず、中学時代の恋愛にしがみついていることにコンプレックスを抱いています。そして、担当の編集者から連載漫画の中でラブシーンを書くように言われて困惑します。

男子側のシンは高校時代にプロのミュージシャンの夢に破れ、リネンの配送会社でシーツの運搬を行う日々の中に安らぎを感じながらも、バンドへの夢を捨てきれないでいました。中学を出て10年、挫折も屈折も含め、2人は再会できるのか、そして笑いあうことはできるのでしょうか。

エバーグリーンのあらすじはこんなところですが、豊島ミホの作品らしく、とても透明度の高い文章が全体を満たしています。青春小説でありながら汗臭さやとげとげしさがなく、どこまでも澄んだ印象を受けます。心を洗われたい時にお勧めの作品です。

注目の作家、豊島ミホの他の作品をチェック!

伊坂幸太郎「重力ピエロ」



映画化もされた重力ピエロは伊坂幸太郎の原作の作品で、「春が二回から降ってきた」という特徴的な書き出しから始まります。


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あらすじとしては、泉水と春の出生の秘密と放火事件との関連を追った作品です。事件現場の近くにはグラフィティアートが残されるという特徴があり、泉水はやがて、遺伝子のDNA配列と関連していることを突き止めます。これ以上はネタバレになるので書けませんが、ラストに向けて凝縮されていくストーリー展開は、さすが伊坂幸太郎です。

原作である伊坂幸太郎の重力ピエロは、直木賞の候補になったほか、本屋大賞へのノミネート、「このミステリーがすごい!」の第三位獲得など、幅広い評価を受けました。

また、この作品には伊坂幸太郎の作品である「ラッシュライフ」に登場した黒澤という登場人物が脇役として重要な役割を果たしています。黒澤は伊坂作品の中でも人気の高いキャラクターで、重力ピエロやラッシュライフのほか、フィッシュストーリーにも登場しています。ラッシュライフの中では探偵を副業とするのも悪くないという趣旨の発言がありましたが、重力ピエロではまさに副業で探偵をしています。

映画では、泉水を加瀬亮が、春を岡田将生が演じています。加瀬亮や岡田将生のほかにも、小日向文世や吉高由里子、鈴木京香、渡部篤郎といった豪華俳優陣が脇を固めています。主題化にはS.R.SのSometimesが使われています。

これまでにも、陽気なギャングが世界を回す、死神の精度、フィッシュストーリーが映画化され、もはや映画化されるのが当然のようになった伊坂幸太郎の作品ですが、やはり原作を映画が超えるのは難しいようです。あくまで別の作品として楽しむのが正しい作法なのでしょう。

三浦しをん「風が強く吹いている」



箱根駅伝を舞台にしたスポーツ物の小説でありながら、単純な話になることなく作品としての質を高められた「風が強く吹いている」は三浦しをんを代表する作品になりました。原作は小説ですが、ヤングジャンプでの漫画家、小出恵介や林遣都の出演による映画化と他方面で功績を上げています。


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元々優秀な選手を集めた陸上部ではなく、寄せ集めのメンバーで補欠すらいない状態で箱根駅伝を目指すところから物語は始まります。もっとも、「風が強く吹いている」に登場するの中に、最初から駅伝に出場することを目論んでいるメンバーはいませんでした。

唯一、ハイジがチャンス到来を待ち望み、メンバーをひそかに集めていただけです。三浦しをんの描写で驚かされるのは、わずか数ヶ月で箱根駅伝に素人中心の陸上部が出場し健闘する様を、リアリティーを持って書き綴ったところです。実力もやる気もなかった部員達が走ることに目覚めていく様子を見事に書ききったところは、三浦しをんの実力でしょう。

「風が強く吹いている」が映画化や漫画化、さらにはラジオドラマ化と様々な方面でリメイクされているのは、青春を描きながらも暑苦しくならない絶妙な匙加減に成功しているからでしょう。ちなみに、ラジオドラマでは主人公のカケルをジャニーズの今井翼が演じていました。

唯一の天才ランナーがカケルで、残りの大部分は長距離の素人でした。しかし、だからこそ見ている人にも伝わったのでしょう。駅伝やマラソンを心から愛している人など、世の中にそれほど多くはないのです。もし生え抜きのエリートランナーの話であれば、何のために走っているのかと冷ややかな視線を集めるだけになってしまっていたはずです。

風を感じて走ることの素晴らしさに触れたい方に、三浦しをんの「風が強く吹いている」はお勧めです。

評価:☆☆☆☆★

風が強く吹いている

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」



2008年の本屋大賞に輝いたゴールデンスランバーは伊坂幸太郎の代表作と呼べる作品です。


ゴールデンスランバー

首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇を描いた作品なのですが、その濃密さは他の作品を圧倒するほどのものです。伊坂幸太郎の作品の中でも1つの到達点となっている作品と言ってよいでしょう。

一国の総理の暗殺という大事件の真相を捻じ曲げられるほどの大きな力から罠にはめられながらも、主人公の青柳は必死に逃げます。しかも周到に組み立てられた罠は青柳の過去にさかのぼって仕掛けられていました。

絶体絶命の主人公を救ったのは、学生時代の仲間やかつての友人です。圧倒的な権力に立ち向かう信頼関係、やがてそれが物語を動かしていきます。

伊坂幸太郎はゴールデンスランバーの執筆以前から人気作家となっており、映画化された作品も多く持っています。死神の精度やフィッシュストーリー、重力ピエロ、陽気なギャングが世界を回すといった作品たちです。しかし、それらのどれとも違う圧倒的なスケール感がゴールデンスランバーにはあります。

なお、この作品の執筆と並行して伊坂幸太郎はモダンタイムスも執筆していました。モダンタイムスとはところどころに共通点が見え隠れして、それが読者の興味を誘います。

個人では立ち向かえないように見える大きな権力と戦った主人公はどうなったのか!?伊坂作品に共通する感動のラストはこの作品でも見られます。むしろ、これまでの作品と比べても圧倒的な大団円を迎えると言っても良いでしょう。まだ読んでいない方はぜひ読んでください。お勧め度が最高峰の作品です。

評価:☆☆☆☆☆

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和田竜「のぼうの城」



のぼうの城は和田竜の小説としてはデビュー作であり、2008年の本屋大賞で2位を獲得したことでも有名になりました。


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本屋大賞の受賞前から話題になっており、有名人の愛読者が多いことも目立っていました。和田竜の「のぼうの城」の愛読者の一人がモデルの杏さんです。杏さんはパリコレやニューヨークコレクション、ミラノコレクションにも出演歴のある世界的なモデルで、2006年のNews Weekが特集した世界が尊敬する日本人100人にも選ばれています。また、杏さんは渡辺謙さんの娘でもあります。トップモデルと歴史小説という組み合わせは変わっていますが、それだけ幅広い層に指示される作品であるということでしょう。

さて、のぼうの城の内容ですが、「でくのぼう」の「でく」を取ってのぼう様と領民からも呼ばれるほど軽く見られている主人公の成田長親に隠された意外な才覚によって、全国統一をなそうとする豊臣秀吉の軍勢に立ち向かう物語です。

圧倒的に不利な情勢にありながら、それでも諦めない武将達、そして武将や領民から慕われる成田長親の才によって、簡単に勝てるはずだった石田三成率いる豊臣軍は思わぬ苦戦を強いられます。圧倒的な規模で行われた水攻めを前にして、成田長親は他の優れた武将でもできないであろう方法で危機を脱します。

和田竜はのぼうの城が小説家としてははじめての作品となるのですが、すでに新人の域は越えています。これまで歴史小説を読んだ事のない方でも気楽に読める内容となっていますので、気負わずに読んでみることをお勧めします。

評価:☆☆☆☆★

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森見登美彦「有頂天家族」



タヌキを主人公とした森見登美彦の代表作が有頂天家族です。映画「有頂天ホテル」とはまったく別の作品ですので誤解しないで下さい。

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偉大なる父親を失った兄弟の狸たちが、父の敵と壮絶な戦いを繰り広げる様がユーモラスに描かれています。4兄弟のうち、長男は責任感が強いがここ一番に弱く、次男は蛙に変化したまま戻れなくなり隠居生活、主人公である3男はとぼけた性格、4男はまだまだ子供で頼りないという面子で、叔父にあたる強大な力の敵タヌキと戦っていきます。

しかし、その戦いたるや真剣そのもの、とは程遠い有様です。さすが森見登美彦とファンをうならせるのが有頂天家族です。従来の京都大学の学生が主人公の作品とは趣が異なるものの、より洗練されたドタバタが繰り広げられます。

さて、よみごたえがあるかどうかですが、個人的には4つ星と言ったところでしょう。終盤に向けての物語の加速度には目を見張るものがありますが、問題は序盤です。退屈さを拭いきれない展開が続くうちに読むのをやめてしまうこともあるはずです。そこを抜けきれるまでが勝負でしょう。

有頂天家族が森見登美彦の作品の中で最初に読むことになるのなら、ベストとは言えないかもしれません。森見作品の中では、「夜は短し歩けよ乙女」「恋文の技術」といったところが最初に読む作品としてはお勧めです。「夜は短し歩けよ乙女」では、京都大学学生を主人公とした一連の作品の到達点とも呼べる境地を切り開いています。

ユーモアに溢れるところが特徴の作家だけあって、有頂天家族も笑いをこらえられない作品となります。物語が大団円を迎えるまでの加速感を体感してください。

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宮部みゆき「模倣犯」



宮部みゆきの模倣犯のあらすじとしては、2人組みの連続殺人犯とそれを取り巻く被害者の遺族やルポライターの前畑滋子、過去の事件で心に傷を負った少年達のそれぞれの視点から事件が語られ、やがて犯人が追い詰められているというものです。

模倣犯の詳しい内容はこちら

人気作家、宮部みゆきの代表作となった模倣犯は、SMAPの中居正広が主演で映画にもなりました。個人的には小説の方が引き込まれるような精緻な文体が光っていると思っています。映画を見た方でも、そこでは描かれていなかった話が出てくるとうい点で十分に楽しめるはずです。

また、ルポライターとして登場して前畑滋子は、その後続編とも言える楽園という作品の主役にもなっています。一連の事件の影響で一度は仕事を辞めた前畑滋子が再び活動を始めるものの、模倣犯に描かれている事件によって世間は彼女を記憶しており、そのことと再び向き合わされるというあらすじです。楽園の中では、山荘というキーワードが多用されますが、これは事件を象徴する言葉であるためです。

「楽園」について詳しくはこちら

実は、宮部みゆき作品の中でも模倣犯より楽園を先に読んでしまったため、山荘の絵がキーワードになっていることは分かっても、山荘を描いた絵にどのような意味があるかはいまいちよく分かりませんでした。続編に当たるものに先に触れてしまったのですから、あらすじがいまいち理解しきれないのも仕方ないでしょう。

宮部みゆきの模倣犯のあらすじの長さに対し、文章量はかなり長いものになっています。これは犯人や前畑滋子などそれぞれの立場から同じ場面を描写しているためです。ネタバレになってしまうので詳しいことは省くべきかもしれませんが、犯人を推理することはこの小説のポイントではありません。むしろ驚くべきは宮部みゆきの構成力でしょう。

簡潔な文章という点では難があるのかもしれませんが、充実した内容は決して読者を飽きさせるものではありません。むしろ、映画を見るとあらすじを追うことに主眼を置いているような形になってしまい、映画がやや見劣りするものとなってしまっています。小説と映画化されたものは別の作品と割り切った方がよいでしょう。

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伊坂幸太郎「モダンタイムス」



2009年の本屋大賞にもランクインした伊坂幸太郎のモダンタイムスにおいては、好みが分かれる内容と言えるでしょう。

ストーリーの内容はこちら

これはどのような意味であるかというと、事実上の「魔王」の続編であり、超能力について描かれているものである点です。もっとも、魔王がはっきり超能力に言及しているのに対し、モダンタイムスではその部分がぼかされています。ある現象を分析する際、それが人智を越えた超能力であるのか、ただのトリックは捉え方次第という趣旨のセリフが出てくるのです。

また、井坂幸太郎という登場人物が出てくるのも大きな特徴です。もちろん、これは作者の伊坂幸太郎をもじったものです。女好きで破綻した性格であるところは、筆者のイメージとはかけ離れていますが、あとがきによれば登場人物の名前を考えるのが面倒だったというだけで、深い意味はなかったようです。深読みしながら進んでいった割にはあっけない幕切れでした。

伊坂幸太郎はモダンタイムスと並行してゴールデンスランバーを執筆していました。ゴールデンスランバーは2008年の本屋大賞に輝いた作品です。つまり、伊坂幸太郎は同時期に執筆したモダンタイムスとゴールデンスランバーで2年連続の本屋大賞へのランクインを果たしたことになります。2008年は大賞、2009年は10位という意味ではだいぶ順位が下がってしまっていますが、これはあくまで評価の一部に過ぎません。

むしろ重要なのは、この作品の特性でしょう。後半に向けての疾走感はさすがですが、そこに至るまでには残酷な描写があり、一部の方には読み進める上でストレスがかかるものと思われます。もっとも、伊坂作品に共通する絶妙な言い回しやユーモアが散りばめられていますので、ただ過激なだけの作品ではないことは言うまでもありません。

ゴールデンスランバーのように全編に渡って濃厚なエネルギーが充満しているというよりは、緩急をつけながら進んでいく物語という印象が強い作品でした。


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